世界的なピアノコンクール、第16回ヴァンクライバーン国際ピアノコンクールがいよいよ来月6月に迫ってきましたね。コンクールを一層楽しむために日程や課題曲、出場者などをまとめてみました。
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールとは?
ヴァン・クライバーンは、23歳の時に第1回チャイコフスキー国際ピアノコンクールで優勝したアメリカのピアニスト(1934~2013)。冷戦真っ只中の当時、ソ連のコンクールでアメリカ人が優勝したというのは大きなニュースになり、これを記念して1962年に開始されました。
このコンクールは4年に一度の開催で、本来なら昨年2021年に開催予定でしたがコロナのため延期され、今年の6月に第16回コンクールが開催されます。
日本人としては、2009年の第13回大会で辻井伸行さんが優勝されています。
3月にはエントリー388名から選ばれた72名による予備予選が実施され、6月の本大会に進む30名が決定しました。日本からは3名が本大会に出場されます。
第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの日程
コンクールの日程と、ラウンドごとの人数は次の通りです。
予備予選 | 2022年3月6日~12日 | 72名 |
予選(ここから本大会) | 2022年6月2日~4日 | 30名 |
準々決勝 | 2022年6月5日〜6日 | 18名 |
準決勝 | 2022年6月8日〜12日 | 12名 |
決勝 | 2022年6月14日〜18日 | 6名 |
第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの課題曲は?
コンクールごとに特徴があるのが課題曲。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールは次のようになっています。
予選
映像審査、予備予選を通過した30名によって行われます。
日程:2022年6月2日〜4日
課題:40分のリサイタル(ただし、Stephen Houghが作曲した4~6分の作品を含むこと。)
準々決勝
準々決勝は、18名が演奏します。
日程:2022年6月5日〜6日
課題:40分のリサイタル(ただし、予選で演奏した曲は演奏できない)
準決勝
準決勝は、12名が演奏する予定です。
日程:2022年6月8日〜12日
課題:60分のリサイタルとモーツァルトの協奏曲の2つのフェーズからなる。
フェーズ1:60分のリサイタル
フェーズ2:以下のモーツァルトのピアノ協奏曲から1曲
- ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271
- ピアノ協奏曲第15番変ロ長調K.450
- ピアノ協奏曲第19番ヘ長調K.459
- ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466
- ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.467
- ピアノ協奏曲第22番変ホ長調K.482
- ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488
- ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491
- ピアノ協奏曲第25番ハ長調K.503
- ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595
フォートワース交響楽団、指揮:ニコラス・マギーガン
決勝
これが最終。準決勝の半分の6名が演奏します。
日程:2022年6月14日〜18日
課題:ピアノ協奏曲2曲(それぞれのリストから1曲づつ選択する)
【リスト1】
- ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ短調 op.15
- ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op.19
- ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 op.37
- ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ハ長調 op.58
- ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 op.73
- ショパン:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 op.11
- ショパン:ピアノ協奏曲第2番ニ短調 op.21
- ガーシュウィン:ラプソディー・イン・ブルー
- ガーシュウィン:ピアノ協奏曲ヘ長調
- グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 op.16
- リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調 S.124
- リスト:ピアノ協奏曲第2番イ長調 S.125
- メンデルゾーン:ピアノ協奏曲第1番ハ短調 Op.25
- ラヴェル:ピアノ協奏曲イ短調
- ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
- サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.22
- サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番ヘ長調 op.103
- シューマン:ピアノ協奏曲イ短調 op.54
【リスト2】
- バルトーク:ピアノ協奏曲第2番ト長調Sz.95、BB 101
- バルトーク:ピアノ協奏曲第3番ホ長調Sz.119、BB 127
- ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 op.15
- ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op.83
- プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番ト短調 op.16
- プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番ハ長調 op.26
- ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調 op.18
- ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番ニ短調 op.30
- ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
- チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調 op.23
フォートワース交響楽団、指揮:マリン・オールソップ
ファイナルがコンチェルト二曲っていうのが面白いですよね。2つも聴けちゃうなんて贅沢!
なお、ファイナルの指揮者は審査員長のようです。そんなんこともあるんですね!!
本大会に出場するコンテスタントは??
公式サイトによると、6月からの本大会に出場されるのは次の方々です。
- Tianxu An, China, age 23
- Yangrui Cai, China, 21
- Albert Cano Smit, Spain/Netherlands, 25
- Dmytro Choni, Ukraine, 28
- Federico Gad Crema, Italy, 23
- Anna Geniushene, Russia, 31
- Francesco Granata, Italy, 23
- Arseniy Gusev, Russia, 23
- Masaya Kamei, Japan, 20
- Uladzislau Khandohi, Belarus, 20
- Honggi Kim, South Korea, 30
- Elizaveta Kliuchereva, Russia, 23
- Shuan Hern Lee, Australia, 19
- Andrew Li, United States, 22
- Yunchan Lim, South Korea, 18
- Denis Linnik, Belarus, 26
- Kate Liu, United States, 28
- Ziyu Liu, China, 24
- Jonathan Mak, Canada, 25
- Georgijs Osokins, Latvia, 27
- Jinhyung Park, South Korea, 26
- Changyong Shin, South Korea, 28
- Ilya Shmukler, Russia, 27
- Vitaly Starikov, Russia, 27
- Clayton Stephenson, United States, 23
- Yutong Sun, China, 26
- Marcel Tadokoro, France/Japan, 28
- Sergey Tanin, Russia, 26
- Yuki Yoshimi, Japan, 22
- Xiaolu Zang, China, 22
日本から本大会に進まれているのは、亀井聖矢さん、田所マルセルさん、吉見友貴さんの3名です。頑張って欲しいですね。
個人的に注目しているのは、昨年のショパンコンクールで惜しくも2次予選敗退となってしまった中国のソン・ユトンさん。すっかり魅了されてしまったので、また聴けるのが楽しみでたまりません。昨年のショパンコンクールからは、オソキンスさん、フェデリコさんのお名前もあります。
また、2015年のショパンコンクールで3位となったケイト・リウさんや、2019年のチャイコフスキーコンクールで4位となったティアンス・アンさんも出場されています。
アンさんはこのコンクールのファイナルで協奏曲を2曲演奏するところ、オーケストラが予定していたチャイコン1番ではなくパガニーニの主題による狂詩曲を弾き始めたという恐怖のステージを体験された方です。この映像を最初見た時は、ハプニングに瞬時に対応されたアンさんの凄さに驚かされました。
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールは配信される??
こちらのコンクール、2009年の第13回以降は全ての演奏がライブ配信されています。最近は日本にいながらもライブで国際コンクールを聴くことができるので、本当にいい時代になったものだと思います。
配信は、こちらの公式サイトから聴くことができます。
ライブを聴き逃しても、FacebookとYoutubeで聴くことができそうです。
☆Youtubeの公式チャンネルはこちら
気になるコンテスタントも多いヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール。今からワクワクが止まりませんね。一緒に楽しみましょう♪