ここまでは西洋の音階の中でもよく使われるものを中心に学習してきたけど、音階には他にも色々な種類が存在しているんだよ。
教会旋法
教会旋法というのは、中世の時代にグレゴリオ聖歌の集大成とともに組織化された旋法なんだ。古代ギリシャの旋法をもとにして、当時発達した教会音楽に使われていたんだよ。
各旋法は、その音列内における全音と半音の位置が異なるために、それぞれ固有の特質を持つんだ。また、長調や短調における「主音」「属音」の役割を果たす「終止音」「支配音」をもっているよ。
終止音を□、支配音を△で表す。
【正格旋法】
ドリア旋法
フリギア旋法
リディア旋法
ミクソリディア旋法
エオリア旋法
イオニア旋法
ここにあげた6つの旋法は全て「正格旋法」だが、教会旋法にはこれと同じ終止音をもつ「変格旋法」が存在する。「変格旋法」は、それぞれの旋法名の前にヒポがつく。(例:「ドリア旋法」の変格旋法は「ヒポドリア旋法」
※大学入試までの問題においては「変格旋法」はほぼ使われないため、ここでは「正格旋法」のみの紹介とする。
「イオニア旋法」って「C dur」と同じ? 「エオリア旋法」も「a moll(自然短音階)」と同じに見えるよ??
おっ、いいことに気付いたね。
「エオリア旋法」と「イオニア旋法」は、16世紀になってから追加されたんだけど、この2つが近世になってから長短音階組織に発展して現在の長調短調が確立したんだよ。
へぇ〜〜。
ところで、教会旋法ってどんな風に出題されるの??
例えば、こんな問題があるよ。やってみよう!
「ホ音を主音(終止音)とするミクソリディア旋法を高音部譜表上に書きなさい。」
「ミクソリディア旋法」って「ト」が終止音の旋法じゃないの??
確かに例ではト音を終止音として、全て幹音でできている旋法だったね。
でも、これは必ずト音が終始音ということではなくて、旋法自体はこの音程関係の上に成立する音列を指しているんだ。
全音とか半音とかの並びを指してるってこと?
その通り!
ミクソリディア旋法の音の並びはどうなってるかな?
全・全・半・全・全・半・全!
ということは、それをホ音に続けて当てはめると・・・
正解!!
教会旋法は基本形をしっかりと覚えておいて、どの旋法が出題されても対応できるようにしておこう。
全音音階
全音音階は、その名の通り隣接する音階の各音が、全て「全音」の隔たりをもつ音階のことだよ。
この音階は、古典時代の作品にも曲の一部で使われていることがあるけど、多用されるようになったのは近代になってからなんだ。特にドビュッシーが好んで使っていて、多くの名曲を残しているよ。
どの音から始めたとしても、音階に含まれる音は上の二通りしかない。
民族的な音階
日本、インド、ハンガリーをはじめとして、世界の民族音楽のほとんどは十二平均律にない音律で形成されているものが多いんだ。いくつかみてみよう!
●雅楽の音階
呂音階
律音階
●俗楽(一般大衆の音楽)の音階
陽音階(田舎節)
陰音階(都節)
●琉球の音階
民族音楽では、5つの音からなる音階を音楽の基本としているものが多いんだ。日本の音階やスコットランドの音階などのように、5つの音からなる音階を総称して「五音音階」というよ。覚えておこう!