ショパンコンクールといえば、ピアノ選びも気になるところですよね。昨日公式サイトに今回のピアノ選びについての記事がアップされていたので、今回はそれをもとに第18回ショパンコンクールの「ピアノ選び」についてまとめてみたいと思います。
第18回ショパンコンクールで使われているピアノメーカーは?
今回選べるピアノは、前回のコンクールと同様の5台。
コンテスタントの方々は、Steinway & Sons(「479」と「300」の2台←この数字は楽器の製造番号の下3桁)とYAMAHA、KAWAI、Fazioliの4メーカー5台のピアノから、1台を選びます。
このピアノ選び、選定にかけられる時間はたった15分。そのため、全部のピアノを試す方もいれば、最初から選んだピアノの前に座った方もおられたようです。
そして、気になったのが「 The decision concerning the instrument remains in force until the end of the competition – players cannot change the instruments during the consecutive stages. 」の部分。end of the competition ってことは、これまでの大会と違い、第1ステージで選んだピアノを変更できないのかもしれませんね。
※ピアノが変えられないかもという心配ですが、どうやら変更可能になったようです。よかったですね。
(10/9 追記 音楽ライター高坂はる香さんのTwitter情報により。変更すると言う正式な文面等は出されていませんが、上記の文も公式サイトから削除されていました。)
今回のショパンコンクール第1ステージのピアノ選びで最もたくさん選ばれたのがスタインウェイ。続いて多かったのがヤマハ、次がファツィオリで一番少なかったのがカワイだそう。
人数の内訳は次の通り。
- スタインウェイ‥‥64人(全体の約75%)
- ヤマハ‥‥9人
- ファツィオリ‥‥8人
- カワイ‥‥6人
舞台上に5台が所狭しと並んでいる様子は壮観ですね!
ショパンコンクールと「ピアノ選び」の歴史
スタインウェイのピアノは、ショパン国際ピアノコンクールの約100年の歴史の中で最も長い間使われてきたそうです。
第1回大会では、他にベヒシュタイン、ベーゼンドルファー、プレイエルのピアノがありました。 ちなみに楽器の選択は、参加者の演奏の前日に行われていたそう。
選べるピアノが最も少なかったのは1965年で、スタインウェイ3台のみでした。逆に最も選択の幅が広かったのが1990年で、その数なんと7台!! 驚きですね。
日本の誇るピアノメーカー、ヤマハとカワイが初めて登場したのが1985年。イタリアのファツィオリが選べるようになったのは、第16回ショパン国際ピアノコンクール(2010年)からです。
第1ステージでコンテスタントの方々が選んだピアノは?
ピアノとピアニストの組み合わせで無限に変わる音が面白く、今回はどのピアノを選ばれたかにも注目していました。セッションごとに選ばれていたピアノをまとめておきたいと思います。
※10/9追記 1次通過者にマーカーを入れました。
第2ステージ進出者のピアノの内訳は、スタインウェイ479が23人、スタインウェイ300が10人、ヤマハ・ファツィオリ・カワイがそれぞれ4人ずつとなりました。
※10/13追記 2次通過者にマーカーを入れました。
第3ステージ進出者のピアノの内訳は、スタインウェイ479が14人、スタインウェイ300、ファツィオリ、カワイがそれぞれ3人ずつとなり、ヤマハの進出者はいませんでした。
なお、2次でピアノを変更したのは1名でNikolay Khozyainovさんがスタインウェイ300(1次)を2次で479に変更されました。ピアノ変更が可能なルールに変わったので、これからの動向にも注目です。
※10/17追記 3次通過者(ファイナル進出者)にマーカーを入れました。
ファイナル進出者のピアノ内訳は、スタインウェイ479が6人、ファツィオリとカワイが3人ずつで、ファツィオリとカワイは3次進出者全員がファイナルという結果になりました。
なお、第1ステージの選択順に比較するとこんな感じ。
- スタインウェイ479‥‥43人→6人【13.95%】
- スタインウェイ300‥‥21人→0人【0%】
- ヤマハ‥‥9人→0人【0%】
- ファツィオリ‥‥8人→3人【37.5%】
- カワイ‥‥6人→3人【50%】
一番少なかったカワイは半分がファイナルに進出! すごいですね!
ピアノ変更は可能ですが、ファイナルでカワイやファツィオリが聴けたらいいなと思っています。
※10/21追記 入賞者(6位まで)にマーカーを入れました。
ファイナルでは前回のように、これまで使ってきたピアノを変えるというコンテスタントはおらず、みなさんそれまでのステージで演奏されたピアノを選んで演奏しておられました。
なお、ピアノ別の入賞者順位は次の通りです。
- スタインウェイ479‥‥第2位、第4位、第4位
- ファツィオリ‥‥第1位、第3位、第5位
- カワイ‥‥第2位、第6位
今大会はピアノに注目して聴いていましたが、それぞれに自分の良さを生かせるピアノを選んでおられるのがいいなぁと思いました。
ファイナルでも3種類のピアノを聴けて良かったです。
1日目(10/3) Morning session(9名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 5名
② Tomasz Marut ⑤ Szymon Nehring ⑥ Viet Trung Nguyen ⑧ Evren Ozel ⑨ Kamil Pacholec
Steinway & Sons 300 ‥‥ 1名
① Xuanyi Mao
Yamaha CFX ‥‥ 3名
③ Yupeng Mei ④ Arsenii Mun ⑦ Georgijs Osokins
1日目(10/3) Evening session(9名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 6名
② Yeonmin Park ③ Piotr Pawlak ④ Leonardo Pierdomenico ⑤ Zuzanna Pietrzak ⑥ Hao Rao ⑦ Yangyang Ruan
Steinway & Sons 300 ‥‥ 1名
⑨ Aristo Sham
Yamaha CFX ‥‥ 1名
① Jinhyung Park
Kawai Shigeru EX ‥‥ 1名
⑧ Sohgo Sawada
2日目(10/4) Morning session(9名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 4名
① Miyu Shindo ③ Kyohei Sorita ④ Szu-Yu Su ⑥ Yutong Sun
Steinway & Sons 300 ‥‥ 4名
② Talon Smith ⑤ Hayato Sumino ⑧ Rikono Takeda ⑨ Shunshun Tie
Fazioli F278 ‥‥ 1名
⑦ Aleksandra Świgut
2日目(10/4) Evening session(9名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 4名
① Sarah Tuan ③ Zitong Wang ⑤ Marcin Wieczorek ⑦ Victoria Wong
Steinway & Sons 300 ‥‥ 4名
④ Zijian Wei ⑥ Andrzej Wierciński ⑧ Yuchong Wu ⑨ Lingfei (Stephan) Xie
Yamaha CFX ‥‥ 1名
② Tomoharu Ushida
3日目(10/5) Morning session(9名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 4名
① Zi Xu ③ Anastasia Yasko ⑥ Yilan Zhao ⑧ Piotr Alexewicz
Steinway & Sons 300 ‥‥ 1名
② Yuanfan Yang
Kawai Shigeru EX ‥‥ 2名
④ Andrey Zenin ⑤ Boao Zhang
Fazioli F278 ‥‥ 2名
⑦ Ziji Zoe Zhao ⑨ Leonora Armellini
3日目(10/5) Evening session(8名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 4名
② Michelle Candotti ⑤ Xuehong Chen ⑥ Zixi Chen ⑦ Hyounglok Choi
Steinway & Sons 300 ‥‥ 2名
③ Kai-Min Chang ④ Junhui Chen
Kawai Shigeru EX ‥‥ 1名
① JJ Jun Li Bui
Fazioli F278 ‥‥ 1名
⑧ Federico Gad Crema
4日目(10/6) Morning session(9名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 2名
③ Yasuko Furumi ⑦ Eva Gevorgyan
Steinway & Sons 300 ‥‥ 4名
① Aleksandra Hortensja Dąbek ② Alberto Ferro ⑤ Avery Gagliano ⑨ Joanna Goranko
Kawai Shigeru EX ‥‥ 1名
④ Alexander Gadjiev
Fazioli F278 ‥‥ 1名
⑥ Martín García García
Yamaha CFX ‥‥ 1名
⑧ Jorge González Buajasan
4日目(10/6) Morning session(8名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 5名
②Eric Guo ③ Saaya Hara ④ Yifan Hou ⑤ Wei-Ting Hsieh ⑥ Kaoruko Igarashi
Steinway & Sons 300 ‥‥ 1名
⑦ Riko Imai
Fazioli F278 ‥‥ 2名
① Chelsea Guo ⑧ Junichi Ito
5日目(10/7) Morning session(9名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 6名
② San Jittakarn ④ Adam Kałduński ⑥ Su Yeon Kim ⑦ Aimi Kobayashi
⑧ Mateusz Krzyżowski ⑨ Jakub Kuszlik
Steinway & Sons 300 ‥‥ 2名
① Asaki Iwai ⑤ Nikolay Khozyainov(→2次で479に変更)
Yamaha CFX ‥‥ 1名
③ Joo-Yeon Ka
5日目(10/7) Evening session(8名)
Steinway & Sons 479 ‥‥ 3名
③ Jaeyoon Lee ⑥ Julia Łozowska ⑦ Jiana Peng
Steinway & Sons 300 ‥‥ 1名
④ Xiaoxuan Li
Kawai Shigeru EX ‥‥ 1名
② Hyuk Lee
Fazioli F278 ‥‥ 1名
⑤ Bruce (Xiaoyu) Liu
Yamaha CFX ‥‥ 2名
① Shushi Kyomasu ⑧ Chao Wang
1日目は圧倒的にスタインウェイ479が多かったですが、2日目は300と479が半々でした。
同じピアノが続くと、コンテスタントによる音色の違いがわかりやすく、おっと思わされることがあります。
3日目はカワイ、ファツィオリの登場が多かったですね。
4日目午前には、全部のピアノが登場しました。
5日目最後のセッションでは再び全ピアノの登場でした。
スタインウェイの479と300ですが、479が43人、300が21人で倍の差がつきました。確かに479の方が鳴りやすく華やかなイメージですが、300も素敵な音を出しておられたコンテスタントがおられ、どちらにも良さがあると思いました。