ショパンコンクール2025を聴こう♪〜出場資格と日程、課題曲、審査について〜

今年は「第19回ショパン国際ピアノコンクール」が開催される年です。

本来は5年に1度行われるコンクールですが、前回はコロナのために2020年開催予定が2021年になっていたので、今回は4年ぶりの開催となります。

参加申込の提出期限はすでに昨年12月15日に終わっていて、書類とビデオ審査の選考を通過したコンテスタントが4月からの予備予選に進み、10月の本選に出場するコンテスタントが決定します。

大まかなスケジュールは以下の通りです。

  • 出場申込 2024年9月2日〜12月15日
         (2025年3月5日までに予備予選出場者発表)
  • 予備予選 2025年4月23日〜5月4日
  • 本大会  2025年10月2日〜10月23日
目次

ショパンコンクール2025 出場資格について

ここからは、ショパンコンクールの要項を紹介していきます。

前回大会の時は、日本語の要項を発見することができたのですが、今回は見つけられず、英語のものしかありませんでした。→要項はこちら

実施要項 抜粋

《参加資格》1995年から2009年生まれの方

《審査方法》
 課題曲を録画したビデオを必要書類と共に提出。ビデオによる審査
 →ビデオ審査通過者は、ワルシャワにてライブ審査。(これに通過すると本大会に進むことができる。原則160名)

《必要書類》
 ①所定の申込書
 ②略歴(1,000字程度)
 ③生年月日が証明できる公的証明書の写し
 ④コンクールの出版物に使用する写真3枚
 ⑤在学証明書および主要コンクール成績証明書のコピー
 ⑥過去3年間の音楽活動を証明する書類(演奏会のプログラムやチラシなど)
 ⑦教授や著名な音楽家からの推薦状2通
⑧審査用ビデオ
⑨参加費支払い証明


《コンクール参加費》
 100ユーロ(約115.646円)

《賞品》
 1位:60,000ユーロと金メダル(約9,387,300円)
 2位:40,000ユーロと銀メダル(約6,258,200円)
 3位:35,000ユーロと銅メダル(約5,475,925円)
 4位:15,000ユーロ(約4,693,650円)
 5位:25,000ユーロ(約3,911,375円)
 6位: 20,000ユーロ(約3,129,100円)
 7位以下のファイナリスト:8,000ユーロ(約1.251,640円)

《特別賞》
協奏曲最優秀演奏賞
マズルカ最優秀演奏賞
ポロネーズ最優秀演奏賞
ソナタ最優秀演奏賞
バラード最優秀演奏賞

要項は誰でも見れるものの、教授や著名な音楽家からの推薦状や、音楽活動を証明する書類が必要だったりするので、当然ながら誰でも受けられるわけではありません。

なお、前回の第18回大会(2021年)と比べると、入賞の賞金が上がっていたのが驚きでした。全てにおいて上がっていて、特に1位は前回から20,000ユーロも高くなっています。

バラード演奏賞も前回にはなかった特別賞です。

ショパンコンクール2025の日程と課題曲

ここからは、ショパンコンクールの日程と課題曲をみていきたいと思います。

私自身、前回大会から追っていますので、前回との比較もしながらご紹介します。

なお、前回大会は予備予選からYoutubeで見ることができました。よかったらチェックしてみてください。

ビデオ選考

課題曲は以下の通りで、原則として160名が予備予選に選ばれます。

課題曲


①24の前奏曲Op.28から以下のいずれかの6曲セット
(a)7〜12番 (b)13〜18番 (c)19〜24番

②エチュード2曲(以下のa,bグループから1曲ずつ選択)
(a)Op.10-1,10-4,10-5,10-8,10-12,25-11
(b)Op.10-2,10-7,10-10,10-11,25-4,25-5,25-6,25-10

③以下の作品から1曲
ノクターン Op.9-3、27−1、37−2、48−1、48−2、55−2、62−1、62−2
エチュード Op.10-3、10−6、25−7

④以下の作品から1曲
バラード第2番 Op.38
バラード第3番 Op.47

予備予選

日程:2025年4月23日〜5月4日

課題曲:全6曲

①次のaおよびbグループから任意の各1曲ずつ、計2曲のエチュード
エチュードa:Op.10-1、Op.10-4、Op.10-5、Op.10-8、Op.10-12、Op.25-11
エチュードb:Op.10-2、Op.10-7、Op.10-10、Op.10-11、Op.25-4、Op.25-5、Op.25-6、Op.25-10

②下記の作品(ノクターンかエチュード)から任意の1曲
ノクターン:Op.9-3、Op27-1、Op.27-2、Op.37-2、Op.48-1、Op.48-2、Op.55-2、Op.62-1、Op.62-2
エチュード:Op.10-3、Op.10-6、Op.25-7

③スケルツォNo.1〜4から1曲

④指定のマズルカから任意の1曲
Op.24-4、Op.30-3、Op.30-4、Op.33−4、Op.41-1、Op.41-4、Op.50-1、Op,50-3、Op.56-1、Op.56-3、Op.59-1、Op.59-3

前回からの変更点としては、バラード、舟唄、幻想曲から1曲選んでいたところがスケルツォになったことと、マズルカの指定作品と演奏曲が2曲から1曲に変わっています。

第1ステージ

第1ステージは、予備予選に通過したコンテスタントと、すでに発表されている予備予選免除者(指定のコンクールの上位2位までの入賞者)の計80名ほどが演奏します。

日程:2025年10月3日〜7日

課題曲:全4曲

①以下のエチュードからの1曲
Op.10-1、Op.10-2、Op.25-6、Op.25-10、Op.25-11

②下記の作品(ノクターンかエチュード)から1曲
ノクターン:Op.9-3、Op27-1、Op.27-2、Op.37-2、Op.48-1、Op.48-2、Op.55-2、Op.62-1、Op.62-2
エチュード:Op.10-3、Op.10-6、Op.25-7

③以下のワルツから1曲
Op.18、Op.34-1、Op.42

④バラードNo.1〜4、舟唄、幻想曲から1曲

第1ステージも、前回の課題曲からいくつか変更がされていますが、1番大きな変更としては前回第2ステージで演奏されたワルツが1次の課題になっていること。

このことについて、記者会見で国立フリデリク・ショパン研究所のアルトゥル・シュクレネル所長は次のように説明されたそうです。

「ショパンのワルツをどう弾くかはピアニストにとって大きな挑戦です。それぞれのコンテスタントたちがワルツにどう向き合うか、早い段階で聴きたいと思いました。2次予選ではワルツの代わりに任意の1曲を弾いていただきます」(「ぶらあぼ」より引用)

第2ステージ

第2ステージは、1次の半分の約40名が演奏する予定です。

日程:2025年10月9日〜12日

課題曲:40~50分のプログラム

①24の前奏曲Op.28から以下のいずれかの6曲セット
(a)7〜12番 (b)13〜18番 (c)19〜24番


②アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ、ポロネーズOp.44、Op.53、Op.26から1曲

③その他、任意のショパン作品(作品28の全曲演奏は可)

合計時間が40~50分となるようにプログラムをつくる。

前回大会では30−40分のプログラムでしたが、10分も長くなっています。

また、前回は第3ステージの課題曲だった前奏曲が入り、全曲ではないものの全員が演奏する課題に変更されています。

第3ステージ

第3ステージは、2次の半分の約20名が演奏します。

日程:2025年10月14日〜16日

課題曲:全3曲

①ピアノソナタ第2番、ピアノソナタ第3番から1作品

指定のマズルカ(No.17、24、30、33、41、50、56、59)から1セット

③その他、任意のショパン作品(上記の課題曲で合計分数に達しない時のみ)

合計時間が45~55分となるようにプログラムをつくる。

第3ステージでは、前奏曲が2次に移ったため、全員がソナタを必ず演奏することになりました。

ファイナル

これが最終。第3ステージの半分の約10名が演奏し、入賞者6名が決定します。

日程:2025年10月18日〜20日

課題曲:2作品

①幻想ポロネーズOp.61

②ピアノ協奏曲第1番、第2番のいずれか1作品

ここにも前大会から大きな変更があり、課題曲が協奏曲だけでなく、独奏曲が追加されました。これについては、2つの意図があると説明されたようです。

「オーケストラとの共演が初めてのために緊張し、音楽に入り込めなかったコンテスタントを見てきましたので、独奏曲を弾くことで音楽に集中するための時間を与えたいというのがひとつ。この作品は即興性が高いので、それによって音楽に入り込み、気持ちを高められるのではないかと考えました。
 また、ピアノ協奏曲はショパンの若い時の作品ですが、晩年の成熟した作品である幻想ポロネーズを弾いていただくことで、ピアニストの持つ資質の幅広さを聴きたいと考えています」(「ぶらあぼ」より引用)

ショパンコンクールの審査方法は?

第19回コンクールの審査員は次の方々(17名)。ショパンコンクールにおいては、いずれのステージでも審査員は自分の生徒を評価することはできません。

審査員長:Garrick Ohlsson(第8回大会優勝者)
John Allison
Yulianna Avdeeva
Michel Beroff
Sa Chen
Akiko Ebi(海老 彰子)
Nelson Goerner
Krzysztof Jabłoński
Kevin Kenner
Momo Kodama(児玉 桃)
Robert McDonald
Piotr Paleczny
Ewa Pobłocka
Katarzyna Popowa-Zydroń
John Rink
Wojciech Świtała
Dang Thai Son

同コンクールの歴代の優勝者・入賞者が多く選ばれている。

第1ステージから第3ステージでは、審査員は各コンテスタントに「次のステージに進むべきか否かのYES/NO」と、「1〜25ポイントの点数」をつけて、評価します。

第1ステージと第2ステージにおいては、YESの数が多い順に、得点の平均点を添えたものが並び、名前を明かさない状態で次のステージへの通過者が決定されます。

ただし、第3ステージの後は、審査員の過半数がコンテスタントの名前を知りたいとした場合、9位から12位の名前を見た上で、10名のファイナリストを決定します。この場合においても、変更可能なのは9位から12位のコンテスタントのみです。

ファイナルでは、1から10までの点数を各コンテスタントに投票します。これは、コンクールの最終順位という想定で、これまでのステージの演奏も考慮にいれた上でつけられる点数です。

ショパンコンクール においては、上位6名までが入賞者として順位を与えられます。

管理人

4年ぶりのショパンコンクール。
どんなコンテスタントの演奏が聴けるのか、今からワクワクします。
世界中から集まったコンテスタントの方々の演奏を楽しみましょう♪

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